認知症予防のポイントを知る

~介護の現場に欠かせない認知症予防のノウハウとは~

業界全体での支援が必要

認知症高齢者は環境の変化に弱いため、住み慣れた地域で顔なじみの人と暮らすことが重要だといわれている。そのため、在宅介護を選ぶ家族も少なくない。そこで大切なのは、認知症の高齢者はもちろんのこと、その家族に対してもケアをすることだ。その理由は、終末期医療の選択で迷う患者家族に適切な助言ができ、皆から信頼される看護師でさえ、いざ自分の親のこととなると理性的に判断しきれなくなってしまうくらいだからだ。

 例えばある自治体では、認知症家族を支援する活動として、お互いに講話をし合いながら悩みを打ち明ける会を開いている。その中で、ある60代の男性は、自ら進んで家族が認知症だと宣言する必要はないが、何でも相談できる相手を見つけることは大切だ、と話す。一方で、認知症の親の介護を担う65歳未満の世代に対する支援も必要とされている。例えば配偶者の発症が親の介護と重なる例もあり、家族は身体的、精神的にも大きな負担を強いられている。在宅介護を行う上で、孤立することが一番の問題である。

 本人や家族が安心して暮らせるように、在宅介護をしながらデイサービスを利用したり、必要に応じて介護施設に短期入所する、または介護の専門職による訪問介護を受けるなど、さまざまな介護サービスを適切に利用することが大切である。こうした専門的なケアを行う立場にあるホームヘルパーやケアマネージャーといった職種が一丸となり、介護業界全体で行っていく必要があるのだ。